WinActorのバージョンアップ情報:v7.5.0の新機能と活用法

WinActor

WinActorは、日本で開発された人気の高いRPA(Robotic Process Automation)ツールです。Windows環境での業務自動化をサポートし、その使いやすさと豊富な機能から多くの企業に導入されています。2024年7月17日に最新バージョンであるv7.5.0がリリースされ、さまざまな新機能と改善が加わりました。本記事では、WinActor v7.5.0の主要な新機能とその活用法について詳しく解説します。

 

1. 生成AIとの連携強化

新機能の概要

WinActor v7.5.0では、生成AIとの連携が大幅に強化されました。この新機能により、ユーザーが自然言語で入力した作業内容から、自動的にシナリオ(自動化の手順)を生成することが可能になりました。OpenAIやAzure OpenAIとの連携により、より高度で柔軟な自動化が実現できるようになっています。

活用法

  1. シナリオ作成の効率化
    • 自動化したい業務の内容を自然言語で入力するだけで、基本的なシナリオが生成されます。
    • 例:「毎日午前9時にメールを確認し、添付ファイルをダウンロードして、指定フォルダに保存する」という指示から、対応するシナリオが自動生成されます。
  2. 初心者のサポート
    • RPAやプログラミングの知識が少ない人でも、直感的にシナリオを作成できるようになります。
    • 技術的な詳細を気にせず、業務フローに集中できます。
  3. 複雑なシナリオの作成
    • 生成AIの能力を活用することで、より複雑で高度なシナリオも効率的に作成できます。
    • 例:条件分岐や例外処理を含む複雑な業務フローも、自然言語で説明することで自動生成が可能になります。
  4. 既存シナリオの改善
    • 既存のシナリオを自然言語で説明し、AIに最適化や改善案を提案させることができます。

注意点

  • 生成されたシナリオは、必ず人間がチェックし、必要に応じて調整することが重要です。
  • 企業の機密情報を含む業務内容を入力する際は、セキュリティに十分注意を払う必要があります。

 

2. シナリオ作成ガイド機能

新機能の概要

v7.5.0では、「シナリオ作成ガイド」機能が新たに追加されました。この機能は、ステップバイステップでユーザーをガイドしながら、効率的にシナリオを作成することを可能にします。シナリオ作成によく利用される部品群が用意されており、これにより初心者でも迷うことなくシナリオを組み立てることができます。

活用法

  1. 段階的なシナリオ作成
    • ガイドの指示に従って、順を追ってシナリオを作成できます。
    • 例:「データ入力」「Web操作」「ファイル操作」など、目的別のガイドを選択し、各ステップを進めていきます。
  2. ベストプラクティスの学習
    • ガイドに従うことで、WinActorの効果的な使用方法や、シナリオ作成のベストプラクティスを学ぶことができます。
  3. 時間短縮
    • 頻繁に使用される部品やテンプレートが用意されているため、シナリオ作成にかかる時間を大幅に削減できます。
  4. 品質の向上
    • ガイドに沿って作成することで、構造化された高品質なシナリオを作成しやすくなります。

注意点

  • ガイド機能は基本的なシナリオ作成には適していますが、非常に複雑または特殊な業務プロセスの場合は、カスタマイズが必要になる可能性があります。
  • ガイド機能を使いつつも、自社の業務プロセスに合わせて適宜調整することが重要です。

 

3. Pythonスクリプトの実行

新機能の概要

WinActor v7.5.0では、新たにPythonスクリプトを実行するノードが追加されました。これにより、従来のVBScriptに加えて、Pythonを使用した柔軟で強力なスクリプト処理が可能になりました。

活用法

  1. 高度なデータ処理
    • Pythonの豊富なライブラリを活用して、複雑なデータ分析や加工が可能になります。
    • 例:Pandasを使用した大量のCSVファイルの処理や、NumPyを使用した数値計算などが実行できます。
  2. 機械学習の統合
    • scikit-learnなどの機械学習ライブラリを使用して、予測モデルをRPAプロセスに組み込むことができます。
    • 例:顧客データの分析と自動分類、需要予測など。
  3. WebスクレイピングとAPI連携
    • requestsやBeautifulSoupなどのライブラリを使用して、高度なWebスクレイピングやAPI連携が可能になります。
  4. カスタムGUIの作成
    • PyQt5などのライブラリを使用して、カスタムGUIを持つRPAプロセスを作成できます。

注意点

  • Pythonスクリプトの実行には、適切な環境設定と必要なライブラリのインストールが必要です。
  • セキュリティの観点から、信頼できるソースからのスクリプトのみを実行するようにしてください。

 

4. Boxとの連携強化

新機能の概要

クラウドストレージサービスであるBoxとの連携が強化され、ファイルのアップロードやダウンロード、検索、タグ設定などの操作が簡単に行えるようになりました。

活用法

  1. クラウドベースのファイル管理
    • RPAプロセスで生成されたファイルを自動的にBoxにアップロードし、チーム全体で共有できます。
    • 例:日次報告書を自動生成し、Boxの指定フォルダにアップロードする。
  2. セキュアなデータ転送
    • セキュリティの高いBoxを介してファイルをやり取りすることで、データ転送のセキュリティを向上させます。
  3. バージョン管理の自動化
    • Boxのバージョン管理機能と連携して、ファイルの履歴を自動的に管理します。
  4. コラボレーションの効率化
    • Boxのコメント機能やタスク機能と連携して、チーム内のコラボレーションを自動化します。

注意点

  • Box連携を使用する際は、適切なアクセス権限の設定が重要です。
  • 大容量のファイル転送時は、ネットワーク環境に注意が必要です。

 

5. Webページ更改時のメンテナンス軽減

新機能の概要

Webページの構成が変更された際に、XPathの修正候補を自動的に提示する機能が追加されました。これにより、Webページの更新に伴うシナリオのメンテナンス作業が大幅に軽減されます。

活用法

  1. 自動修正提案
    • Webページの構造が変更された場合、WinActorが自動的に新しいXPathを提案します。
    • 例:ログインボタンの位置が変更された場合、新しい位置のXPathを提案します。
  2. メンテナンス時間の削減
    • 手動でXPathを探す必要がなくなり、シナリオの修正時間を大幅に削減できます。
  3. 安定性の向上
    • Webページの頻繁な更新にも迅速に対応できるため、シナリオの安定性が向上します。
  4. 学習機会
    • 提案されたXPathを確認することで、より効果的なXPathの構築方法を学ぶことができます。

注意点

  • 自動提案されたXPathは必ず手動で確認し、正しく機能することを確認する必要があります。
  • 複雑なWebページ構造の場合、完全な自動修正は難しい場合があります。

 

まとめ

WinActor v7.5.0は、生成AIとの連携、シナリオ作成ガイド、Pythonスクリプトの実行、Box連携の強化、Webページ更改時のメンテナンス軽減など、多くの新機能を備えています。これらの新機能により、以下のような利点がもたらされます。

  1. シナリオ作成の効率化と品質向上: 生成AIとシナリオ作成ガイドにより、初心者でも高品質なシナリオを迅速に作成できるようになりました。
  2. 高度な自動化の実現: Pythonスクリプトの実行により、複雑なデータ処理や機械学習の統合が可能になり、自動化の範囲が大幅に拡大しました。
  3. クラウド連携の強化: Box連携の強化により、クラウドベースのファイル管理とコラボレーションが容易になりました。
  4. メンテナンス性の向上: Webページ更改時のXPath修正候補提示機能により、シナリオのメンテナンス作業が大幅に軽減されます。

これらの新機能を活用することで、業務自動化の導入と運用がさらに簡単になり、中小企業から大企業まで幅広く活用できます。ただし、新機能を最大限に活用するためには、適切なトレーニングと計画的な導入が重要です。

WinActor v7.5.0の詳細な情報や具体的な導入手順については、公式サイトのWinActor Ver.7.5.0リリースノートを参照することをお勧めします。また、既存のシナリオを新バージョンに移行する際は、十分なテストを行い、互換性の問題がないことを確認してください。

WinActor v7.5.0の新機能を効果的に活用することで、業務効率化と生産性向上を一層加速させることができるでしょう。RPAの導入や更新を検討している企業にとって、このバージョンアップは大きな機会となるはずです。

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